「幻の歌」

 

私は10代後半に青年会のお兄さん・お姉さんにくっついて御奉公させていただきました。

日序上人による月一回の青年会の御講・勉強会にも数回参加させて頂きました。

日序上人は宗門の歌(「開導讃歌」)を作詞されました。

ちょうどその後だったのでしょうか。勉強会で日序上人が「今のはやりの歌はすべて愛・恋・好きの恋愛の歌ばかりでダメだ。もっと違う歌(歌詞)だってある。青年会で作ってレコードを出そう!みんなが書いた歌詞を私がまとめたっていい。歌詞は私が書いたっていい。清流寺からアイドルを出そう。」とおっしゃいました。

その当時は1980年代後半、アイドル全盛期。「恋愛以外の歌」と言われても、本当に見当たらず、それ以外の歌とはどういうものがあるのか私には想像もつきませんでした。

 

結局その話はそれきりになってしまいました。

 

何年も前から恋愛以外の歌も多く聞かれる様になりました。日序上人が作詞された宗門の歌の歌詞を現代風に少しアレンジして使われたと最近伺いました。

あの時、日序上人に歌詞をお願いしていたら、どんな歌詞を書いて下さったのでしょう。

 

「歌詞は私が書いたっていい。」とおっしゃった晩年のあの声は耳に残っています。

 

「疾風怒濤之譜」より