「台湾団参」

 

 一番印象に残っている先住日序上人の想い出は、昭和58年11月に一週間台湾ほぼ一周の団参に随伴御奉公させていただいたことです。

 

 光隆寺の鈴木日高導師、常住寺の日豊導師をはじめとして、清流寺からは日序上人、愛子大奥様、乗学師、序正師、序説師、水谷氏、高山姉と私の8名、全体ではバス2台の大所帯でした。

 

 台湾の半分をほぼ一周、2時間バスで移動するとそこは雪、また2時間移動するとそこは夏という同じ時期で冬と夏を一度に経験できるなんてと本当に驚いたことを憶えています。

 

 台湾の名所の国立中正紀念堂・国立故宮博物院・忠烈祠・日月潭もめぐりました。

 

 国立故宮博物院では日序上人が、「翡翠の置物と象牙の細かい彫刻が素晴らしいねぇ!」とお話されていました。

 

 当時あった台北・台中・高雄のそれぞれ日本人遺骨安置所で御回向させていただきました。

 

 高雄では市営墓地の一番奥に日本人遺骨安置所があり、入口からそこまで歩いて15分くらいかかりました。そこにテントを張りそこまでの薄暗い道を歩くときに愛子大奥様が「何も考えないでお看経を挙げてはダメよ!」とおっしゃいました。

 

 テントのところに着くと突然後ろから突風が吹きテントを巻きあげ、バーッ!と音がして、背後のものが空に飛んで行ったような気がしました。

 

 ある日の朝、どういうわけか朝食の席で私が一番に食事を口に入れ噛んだところ、ガラスが食べ物の中に入っていて口の中が血だらけになってしまいました。そして皆さんの朝食を中していただき事なきを得ました。そのすぐ後に事務局長が亡くなったとの連絡が入りました。日程の関係で日本には戻れず、日序上人はお別れが出来ないことに涙を流して悔しがっておられました。

 

 私の怪我の方は、口の中で砕け散ったガラスの破片を取り除くために愛子大奥様が「ガムを食べてガラスをガムにつけて出しなさい!」とたくさんガムをくださり、ずっと気にかけてくださいました。

 

 台湾のお土産にと買っていただいた木製のしゃもじ等は今でも大切に使わせていただいています。 


台湾(Googleより)の地図は現在の地図です。


追記:台湾団参

 

 現在も毎年宗務支庁交代で台湾教区(台北)佛立寺(創立昭和53年)にお参詣後、本門佛立宗主催で台北・台中・高雄の日本人慰霊所にてご回向をされます。

在住の日本人の方々もお参詣されます。

 

 宗門のほこる行事の一つです。

 

 現在は台北から高雄まで新幹線が走っています。

 

 ぜひ次の機会には、お誘い合わせのうえ、お参詣をさせていただきましょう。

 

事務局長 森内