東村山教区 |
信誓院日堯上人の想い出 |
当山第二世御住職長谷川日堯上人― 今ここでは敢えて、所化名である泉淳師とよばせていただきたく思いますが、その泉淳師と2人で“サシ”でお話ししたのは、いつ頃だったか―少々記憶をたぐってみたいと思います。
昭和59年(1985年)8月、拙宅での甲常講日。 乗泉寺のご住職日晨上人がご遷化されたので、(本年8月第37回忌)先住日序上人が乗泉寺に出向かれ、代行として、泉淳師が来宅されました。 帰途、車庫でのお見送りの際、「若造の代行で申し訳ない」と丁重なご挨拶を頂き恐縮。 私の次女が学習院の後輩で、バスケットの選手であることなど、スポーツマンの泉淳師と話がはずみ、「ご信者に自分の学校の後輩がいることは嬉しいこと」と話しておられたことは今でも記憶に残っています。
柔和なお顔、人当たりの良いご性格は、多くの人を惹きつけられました。 偶々、お向かいの奥さんが出てこられ、挨拶のあと、一度、お説教(御法門)を聞きたい、信者でなくてもよいか、とのお申し出。それに対し、泉淳師は、 にこやかに、「是非とも大歓迎です」とご快諾。 近くに教区内のご信者宅もあり、以後、拙宅、そして近所のご信者宅の御講席にご法門聴聞の方が2・3名参られ、その中のお二方が入信と相成りました。 都内に転宅して12年目になりますが、今でもなお、向う三軒両隣りの方々とは、今でも交流が続いています。
また、泉淳師は日序上人の頃より海外御奉公に積極的に携わっておられ、その事もあって日ごろから 「会社業務多忙のことと思うが、宗門のハワイ、オーストラリア、台湾など、外地寺院の団参に機会をみて参詣しないか」とお誘いをいただいていました。
拙い記憶ではありますが、印象に残っているものを少々振り返ってみたいと思います。
平成19年6月17日 ハワイ別院 三祖会 奉修導師は、本現寺ご高職宮本日孝御導師。 出座教務は17師。 お参詣総計80余名。これぞ関西のパワーというか、元気な大阪の皆さまによる熱祷、すばらしい御看経。これぞハワイの本堂脇に掲げられてある『良い御看経。思いは今日のご奉公。眼は御本尊。声は大きく。』の体現かと思わずにはいられないほど。 奉修導師より、第2支庁の皆さまから志厚いご有志を、ハワイ別院担当として御導師が代表でうけとられ、心からなる深謝の意を表された―そのすぐ後でし た。 団参随伴のお教務師から、 「本日は、長谷川御導師のお誕生日(6月16日がお誕生日)とお聞きし、全員でお祝いし、お祝い品を贈呈したい。また、本日の団参の中で、6月生まれの方 3人(いずれもご婦人)にもお祝品贈呈したい。」との御披露。 満堂の拍手の中、贈呈式挙行、記念の写真をご一緒にとられ、御導師、そして3人のご婦人方が満面のお顔で「一生の想い出になる」と感激されていたのは、一参詣者として感動的な、良き思い出として残っております。 〈注〉令和3年7月25日の明石、扇陽寺の開導会・新本堂落慶開筵式の奉修導師は、本現寺の宮本日孝導師でした。久しぶりに拝見するお顔、これもご縁かと随喜。
翌日、御導師にハワイのご信者さん宅へのお助行に伺わせていただきたい、とお願いいたしました。 そのお申し出も快くお引き受けいただき、別院より車で10分のところにある局長さんのお宅へお参詣を果たしました。 丘陵地帯にある坂道をひたすら登り、たどり着いた先は、ハワイの海。空。市内がよくみえる景観。すばらしいご邸宅でした。 お助行後、局長奥様から 「長谷川御導師が担当ご住職となって頂き、心強くありがたく存じます。どうか、ご縁も深くなった機会に、末寺に加えて頂き、今後ともよろしくお願いし ます。」 とご挨拶いただきました。 多くの方から信頼され、尊敬される、非常に偉大な御導師をいただいているのだ、と再認識させていただいた次第です。 小生の御導師の思い出は特に海外でのものが多いのですが、ハワイでも、また他の海外教区の際も、御導師と寺内関係者との懇親会は、想い出に残る楽しいひとときであったと思います。
―後記― 日堯上人は、ご既承の通り宗務本庁の数々の要職につかれ、御活躍されました。 その中においても特筆されるのは、本山宥清寺、平成の大改修特別局長として、本山宥清寺本堂の大屋根、瓦1枚御有志奉納運動を提唱、当初の計画をはるかに上回る奉納、大成功のうちに御奉公円成を果たされたということです。
当山でも、平成19年1月から開始したご有志運動は、瓦1,200枚の目標に対し、かつてない160%の達成率という、すばらしい御奉公となりました。 その先頭に立ち、率先して我々を導いてくださった御導師でありました。
振り返ろうとすると、数々の想い出が尽きることなく、走馬灯のごとく出てまいります。 私よりも若く、あまりにも早すぎるご遷化は、本当に残念であります。 改めて、生前、ご教導頂いたことを深謝し、ご冥福をお祈り申し上げる次第であります。
これより以後は、御導師より学んだ事を反芻し、残された者一丸となって、お徳を汚さぬよう、異体同心で御奉公に精進してまいりたいと思う所存です。 御導師、まことにありがとうございました。 合掌 令和3年9月 記 |